事業において保有する資金を従業員不正から守る手法をご紹介します。
あなたの事業が大きくなってくるにつれて、従業員や部下に煩雑な会社のお金の管理を任せることもあるかと思います。
現金はその社会的価値から管理を適切に行わないと横領されるおそれもあります。
今回は様々な会社で整備されていた有用な資金の管理方法を紹介していきたいと思います。
ずさんな資金管理は従業員不正の温床?!

会社の現金預金等、金銭的価値があるものを管理、保管する仕組みに穴があると下記のような問題が発生すると考えられます。
資金管理が不適切だと発生する問題
・売上金の一部の着服、切手・印紙等の金券類の従業員横領・外部犯の盗難の被害
・金銭的価値のある資産の残高を把握できず、経営資源が有効活用できない。
経営資源がこのような形で流出・活用できない状態となれば、事業の継続が困難になる可能性もあります。
もし会社に不正を行う隙を減らす仕組み(防止的機能)、また不正を行ったとしても後に発覚する可能性が高い仕組み(発見的機能)があれば、敢えて不正を行おうと思わないでしょう。
このようなことが発生するリスクを低減させる仕組みを下記で紹介していきます。
金庫の管理方法

貴重品を管理するときは金庫に保管することが一般的です。
しかし金庫の管理が不適切な場合、盗難・横領の被害にあうリスクが増大します。
リスクを低減させるために、下記の対応策を組み合わせると有効と考えられます。
①金庫へのアクセスを特定の管理者に限定する
・人目につかない場所に金庫を配置しない。
・金庫は使用時以外は昼夜共に施錠する。
・特定の管理者が鍵を管理する。
・ダイヤル・暗証番号は特定の管理者が把握する。
→暗証番号式の場合、担当者が変わった際に、暗証番号を入れ替えるなど工夫を行っている会社もあります。
②金庫の内容物を把握する
・金庫内の保管物リストを作成する。
→金庫内に保管する対象リストを作ることで保管するべきものを限定できます。
・金庫内は整理整頓する
→金庫内に置く必要のないもの、個人の所有物等の会社に関係のないものは置かないことで、金庫の中身を適切に把握することができます。
金庫内が整頓され、内容物が把握できれば、素早く盗難・横領の事実を認識できます。
現金の管理方法

事業に必要な、日々の切手・収入印紙や備品購入のための小口現金や、売上金を金庫に保管する事があります。
現金は会社財産の中でも、横領等の従業員不正が発生するリスクが特に高い対象といえます。
現金の流れ(フロー)と一時点の有高(ストック)を押さえることで、適宜の不正な金の流れの検知・残高把握が可能となります
①現金出納(フロー)をチェックする
・現金出納簿の作成・適宜の上長承認制度
→現金の入出金の内容を日々記録する現金出納簿を作成・上位者チェックを制度化することで、不正な入出金の兆候を把握できます。
・経費支出時の処理
→関連する経費の申請書式と領収書などの根拠資料を添付し、上位者の承認を経て、現金を支給する業務フローが考えられます。
このような制度を整備することで、不適切な経費申請による資金流出を回避できます。
・売上等の入金があったときの領収書処理
→売上が現金の場合、受け取った現金を従業員に中抜されるリスクがあります。
売上金を受取った際に発行した領収書を先方に確認してもらうと共に、領収書の控えを保管し、売上金の根拠とすることで、不正な中抜きの防止に役立ちます。
また、基本契約等で定期的な入金がある場合等は、現金出納簿をレビューする作業で代替可能です。
②現金有高(ストック)をチェックする
・日々の現金実査を行う
→日々担当者が現金有高をカウントし、その日の現金日計表(その日の現金の入出金及び入出金後の手元有高を記載したもの)との整合性を確認し、上位者が承認を行う業務フローが考えられます。
これにより、従業員横領や作業ミスによる現金過不足を識別することができます。
また、毎月末や四半期ごとの一定期間ごとに、上長が実際に現金有高をカウントすることで、不正な入出金の兆候を把握することができます。
・平常残高、使用用途の把握
→通常考えられる使用用途に対して、必要以上に保有残高を多くすると、盗難や横領の可能性やその被害が大きくなります。必要以上の現金は銀行へ預け入れましょう。
また、売上金を金庫で保管する場合でも、必要以上の金額については当日・もしくは翌営業日の早い時間に銀行に預け入れる等の対応により被害を受けるリスクが低減できます。
その他預金や金券類についても定期的な記帳・管理簿による残高把握・上位者によるレビュー等を行うことで、適切な資金管理を行うことができ、経営資源を守ることができます。
資金管理フローの改善・資金管理実務のイメージ等に役立てていただけますと幸いです。