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紙の保管はもう古い!領収書・レシートを電子化して保存する方法

みなさんはお店で受け取った領収書やレシートはどうやって管理していますか。原則として、領収書等は、紙により7年間保存することが義務付けられているため、1枚ずつ紙に貼って、ファイリングしている企業が多いのではないかと思います。

しかし、このようにして管理するのも日々手間がかかりますし、何より原本を保管しておくための保管コストがかかります。

ここでは、平成27年、平成28年に改正され、ようやく実用的になった領収書・レシートの電子保管方法について説明します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、企業のペーパーレス化を支援するために、1998年に制定されました。しかし、パソコンによる処理は、「痕跡を残さず記録の遡及訂正をすることが容易である」として、導入、運用の要件が厳しく、この20年間でなかなか普及が進んできませんでした。

近年、性能の高いスマートフォンが一般的に普及し、様々なクラウドサービスが登場していることから、データによる経理処理の要望は一層高まってきています。このような中、利用者の利便性の向上を図るために、様々な要件緩和が行われ、ようやく電子保存の普及に弾みがついたのです。

平成27年度の改正内容

平成27年度の税制改正により、以下のような要件緩和が行われました。

  1. スキャナ保存の対象となる国税関係書類の範囲の拡充
  2. スキャナ保存の要件緩和
  3. 適時入力方式に係る要件緩和

平成28年度の改正内容

平成28年度の税制改正により、以下のような要件緩和が行われました。

  1. 読み取りを行う装置に係る要件の緩和
  2. 受領者等が読み取りを行う場合の手続の整備
  3. 相互けんせい要件に係る小規模企業者の特例

スキャン保存の方法

スキャンは、ScanSnapのようなドキュメントスキャナのほか、スマホのカメラで行うことも可能です。

以下で電子化の流れを解説します。なお、ここでは、従業員数が少なく、相互牽制に制限があるスタートアップ企業を想定し、小規模企業者の特例を前提とします。

税務署への申請

領収書・レシートを電子保存する場合、開始の3ヶ月前までに、税務署へ申請しなければなりません。申請書類は、国税庁のホームページにあります。

記入例を参考に記載し、所轄の税務署に対して提出します。

領収書・レシートに署名をする

お店から受け取った領収書・レシートは、受領者が余白部分に署名をしてからスキャンします。

署名とは、領収書・レシートに自分の氏名を書くことであり、押印では要件を満たすことができないので注意が必要です。

また、受領者以外の者が、受領者の氏名を記載することも認められておらず、受領者本人が自ら、領収書・レシートに署名を行うことが必要となります。

タイムスタンプを付与する

原則として、レシートのスキャンは速やかに行い、受領から3日以内にタイムスタンプの付与を行う必要があります。

タイムスタンプの付与は、認定を受けたタイムスタンプ事業者により行われます。一般的には、freee、勘定奉行等の会計ソフトを利用することで行うことができます。

定期的な検査

スキャンしてもすぐに原本を廃棄してはいけません。

税理士等の税務代理人により、領収書・レシートが正しくデータ化・保存されたか、誤りがないかを確認した後、廃棄することが可能となります。

1年に1回以上の検査が必要になるため、税務申告の際、顧問税理士に依頼しましょう。

まとめ

これまで、領収書・レシートの電子保存の方法を説明してきました。

若干複雑な要件が定められていますが、一度導入し、処理のルールさえ定めてしまえば、必ずや経理業務の効率化に資することとなるでしょう。

高度情報化・ペーパーレス化がますます進展する昨今、貴社においても領収書・レシートの電子保存を検討してみてはいかがでしょうか。